ジェネリック医薬品と中国の英雄②
■映画の影響と医薬品事情
映画のモデルとなった彼の存在は単なる一過性のものではなく大衆の代表として、彼の話は大衆文化として受け入れられるようになるまでになり、映画の影響は今までにない新境地を開いてくれました。映画正式公開後たった2日で彼は主だった署名を集め一週間後にはインド・デリーにあるジェネリック医薬品の製薬会社Cyno社との提携するために動き始めました。グリベックのジェネリック医薬品について彼はこう語っています。グリベックは抗がん剤治療に使用される分子標的薬で、慢性骨髄性白血病と消化管間質腫瘍(GIST)に効果があり、慢性骨髄性白血病では最初に使用された医薬品であると説明しています。
グリベックの使用により慢性骨髄性白血病患者の5年間の生存率は90%まで増加しました。その為グリベックを製造・販売をしている製薬会社ノバルティスファーマ社の売り上げは50億ドルにものぼり利益は驚異的なものとなりました。高価格帯の施策も功を成して米国の売り上げはその後7年以内に倍増するまでになりました。その為中国国内での市場販売価格は1箱23500中国元(約390,000円)にもなり、中国のがん患者は選択の余地がありませんでした。この先発品に対してジェネリック医薬品は成分・容量・効果共に同じでありますが唯一の違いは特許を持っていなかったという事です。インドでは1970年の「特許法」において医薬化合物の知的財産権の保護を放棄すると述べています。その後インド国内では各社独自にジェネリック医薬品を量産開発・販売を行うよう様になり瞬く間にインドの支柱産業へと発展していきました。アメリカ市場で流通し始めた医薬品が数か月後にはインド国内で安価なジェネリック医薬品として手に入れることができるようになりました。
■ジェネリック医薬品をインドから購入・使用
中国人男性の彼は実際にインドから2種類のジェネリック医薬品を購入いたしました。インターネットのグーグルで検索し2つのうちの1つインドの製薬会社Natco pharma社のVeenatという抗がん剤のジェネリック医薬品を購入ために日本経由で4000元(約67,000円)の価格で入手しました。入手後彼は長い時間服用することを悩みためらいました。理由として薬の包装パッケージは粗い作りで薬品ボトルの取り出し口は清潔な状態ではありませんでした。加えて緑に着色された錠剤カプセルは服用をためらわすには十分な状態でした。しかし試すもりで茶色のグリベック錠と一緒に服用するようにしました。結果として効果は正常にあり、インドの医薬品は信頼できると確信しました。彼はVeenatを他のがん患者にも勧めることにして中国国内で最初のインドジェネリック医薬品を普及させる最初の人物となりました。そして患者たちの中では大きな影響を与えるようになっていったのです。
抗がん剤ジェネリック医薬品のVeenatを使用してから約7年後、彼は新しくインドCyno社のIMACYというグリベック錠のジェネリック医薬品を推奨するようになります。色はグリベック錠に似た茶色の錠剤で価格は750元(約13,000円)その後大量生産となり3年後には200元(約3500円)程度まで下がりました。ある患者は彼の事を100%信頼しているとまでいうようになりました。彼とインドCyno社との関係はより親密になりCyno社の為中国国内4か所で新発売の医薬品のプロモーション活動を行うようにまでなりました。彼が設立したQQグループは取り扱い医薬品をインドCyno社製にして販売するようになりました。その後影響は中国全土に及び、法的なトラブルも発生し訴訟問題まで発展してしまいました。また彼は患者の利便性を考えCyno社製品の支払いにオンラインカード決済を取り入れた為逮捕されてしまいました。このことはメディアで大きく取り上げられていきます。
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