江戸時代のED治療
■江戸時代のED・早漏
江戸時代の武家社会においては跡目相続をはじめとして子宝はお家存続の為にも非常に大切なものとなっておりました。その為性行為は夫婦のコミュニケーション手段と言うより子孫繁栄として必ず必要な行いでありました。現代社会より深刻な問題であり自分自身だけでなく身内・親族の行く末まで影響を及ぼす大問題だったのです。
また一般の男性でも遊郭・宿場町などで遊ぶことも大切な娯楽として江戸の文化を繁栄させてきました。しかし現代の成人男性と同じように勃起不全や早漏にたいしてはやはり大きな悩みを抱えていたことがうかがえるようです。
■江戸時代のED・早漏対策
江戸のお店には様々な性行為における媚薬と呼ばれる対策薬が売られていたようです。中でも非常に人気のあった媚薬は「長命丸」とよばれる塗り薬です。男性用で男性器(ペニス)に性行為前に塗る事によって射精までの時間を遅らせることができる、いわば早漏防止の薬となります。有効主成分は丁子・蟾蘇・阿片・紫梢花・龍脳・麝香などの生薬が主体となって構成されており沈痛・解毒・興奮作用などの効果があったと言われております。現在の早漏防止薬はダポキセチンを配合した麻酔効果のある服用薬が多く、海外のジェネリック医薬品にはシルデナフィルやバルデナフィル、タダラフィルといったED治療薬成分に一緒に配合されて同時に摂取することができるようになっています。
またその媚薬店にはバイアグラのような勃起不全を改善するとうたわれた薬も販売されていました。「帆柱丸」と呼ばれる媚薬は服用することによって帆柱のように勃起がおこると言われた媚薬系勃起不全治療薬となります。詳しい成分はわかっていないのですが、文献から以下のような成分内容ではないかと言われています。
丁子(ちょうし)
グローブの漢字名称。(香り付け。)
*附子(ぶし)
トリカブトの塊根を乾燥させたものでカラダを温め、新陳代謝の機能を高める。
(有毒といわれていますが、漢方薬としても使用されています。)
*良薑(りょうきょう)
ショウガ科の植物の根を乾燥させたもの。カラダを温める効果がある。
*肉桂(にくけい)
クスノキ科の常緑高木の根皮を乾燥させたもの。香味料。
*蛤介(ごうがい)
オオヤモリ。滋養強壮効果があると言われている。
*山茱萸(さんしゅゆ)
ミズキ科。果実を乾燥した物で滋養強壮効果を促す。
*明礬(みょうばん)
鎮痛・鎮痒・消炎効果のある生薬。
*硫黄(いおう)
殺菌、殺虫作用のある鉱物。
こちらを毎日空腹時に3粒のみ1週間ほど飲み続けるようにします。
現在も昔も男性の性に対するコンプレックスは存在しており対応する医薬品も様々なものがあります。当時入手できる原材料で工夫を凝らした治療薬で男性たち(旦那衆)をサポートしていったことがうかがえます。