抗うつ薬とED
■心因性勃起不全
男性の勃起不全のメカニズムは性的刺激を外部(視覚・聴覚・触覚)から受けることにより脳内伝達物質が神経を伝わり陰茎部の平滑筋を刺激・緩和させることにより血管拡張し血流を増加させ海綿体に血液が溜まることにより勃起が起こります。しかし神経伝達が上手く行われない(性的刺激を受けているにもかかわらず神経の興奮作用が働かない)といった状態になると勃起しない現象が起こると言われています。これを医学用語で心因性ED(勃起不全)といい精神上何かしらの問題が影響して勃起のメカニズムが正常に行われない現象とされています。
■うつ病とED
心的な原因でEDになる男性はストレス・精神疾患・会社でのストレス・夫婦家族関係・幼少の頃の心の傷・日々のプレッシャーなどから誰でも発症する可能性があります。実際に心療内科の数は増加傾向にあり受診者も非常に多岐にわたり増えています。しかし心療内科で主に恥ずかしい心情がもとでED(勃起不全)の事を語らず抗うつ薬の処方でEDは治ると考えてしまう治療者が多くいます。そして治療者は心療内科でうつ病の処方薬によりEDを改善しようと考えます。医療機関はうつ病からくる心身の不調を治療する為に主に投薬治療とカウンセリングを継続することにより回復に向かうと考えています。
■向精神治療薬の普及と影響
現代は心身の健康・バランスを保つために医療機関でも様々な研究や治療法・治療薬が開発されています。いままで原因・理由がはっきりしていなかった病気も少しずつ改善策が見受けられるようになりました。その一つが向精神薬に対する研究です。精神の疾患は以前からありましたが原因がはっきりしない為治療法の確立が難しい分野でした。その後少しずつ改善され、様々な向精神薬が開発・販売・処方されるようになってきました。過度な仕事のストレスや悩み・家族問題・身体健康の問題など現代社会で男性の精神に影響する事例はますます大きくかつ複雑になってきています。向精神薬は個人の症状にあわせて処方することができ、また経過を見ながら(治療者の健康状態・生活習慣)カウンセリングを行い少しずつ回復に向かうことができます。うつ病は心の風邪と言われており何より身体を休め、心の平穏をもたらすことにより回復に向かいます。
■向精神薬と副作用
うつ病を患っている方がED(勃起不全)の原因を自身が精神疾患であるためと考える傾向があります。しかしED(勃起不全)治療の専門医から見ると向精神薬の副作用により引き起こされるEDもある事を提議しています。向精神薬には抗うつ剤・抗精神病剤・睡眠薬など薬効の強弱も含め非常に多くの種類が分類されています。副作用としてEDの原因となる医薬品・成分は抗うつ剤では 三環系抗うつ剤・SSRI、抗精神病剤ではフェノチアジン系・スルピリドなどがあり、また睡眠剤のなかでもパルピツール酸系はEDを引き起こす副作用があるとされています。これを薬剤性EDと呼び3大EDの一つとして認識されています。精神科の医療機関もEDについての見解はありますが患者・治療者がなかなか打ち明けないこともあり勃起不全に影響のある向精神薬を処方することがあり、直接ED専門クリニックに相談することにより発覚するケースもあります。ED治療薬は他医薬品(他成分のED治療薬も含む)の併用によって効果が半減または重篤な副作用に発展する可能性もあります。EDについての相談はかかりつけの医院で正直に話し、相談をして必要であればED専門のクリニックでカウンセリングを受けてみるようにしましょう。EDの原因という事で抗うつ剤の使用をやめるとうつ病悪化の原因にもなりますので医療機関で相談して主治医に薬剤を変更してもらうだけで勃起不全が改善するケースもあります。自身の症状・状態にも十分気を付けて正確な治療を心がけることが第一です。