中国CFDA規制緩和と新薬について
中国では近年CFDAの規制緩和に伴い、大手製薬会社が新薬の販売を狙って続々と進出し始めている。
2014年1月に、中国国家食品薬品監督管理総局(以下CFDA)が中国医薬品の基本法令である「薬品管理法」の改定を約13年ぶりに本格的な検討に入り中国輸入業者は 「許可制」から「届け出制」になり、2016年には審査期間を短くする制度を導入、2017年10月には臨床試験についても一定数の中国人が参加したものであれば、国際的な試験データをそのまま利用する事が出来るようになった為、中国での試験関連の手続きを1~2年短縮が可能となった。
この規制緩和により中国での(CFDA)承認を得るまでの期間も1年以上短縮が出来、世界第2位の市場が更に拡大していくことが期待出来る。
大手製薬会社各社は中国での開発拠点も増やしており、中国の医薬品市場の競争が益々激しくなりつつある。
この様な背景には規制緩のみならず、中国社会の高齢化や所得の向上による高額医薬品への購買意欲が増えると予測しており、17年度の高齢者(60歳以上)は前年よりも約1千万人多い2億4000万人を超えていた。これはなんと日本総人口の2倍と驚愕の数字である。
又、所得も年々向上し続け2021年には世帯収入が日本円で約20万円を超える人達が1億世帯に達すると見込まれており、高額な医薬品でも購買意欲は増えるのは確実とみられる。
中国での販売に進出している企業の中国での承認時期として、英アストラゼネカ社の抗がん剤タグリッソ(肺がん)が2017年3月、英グラクソ・スミスクライン社のトリメーク(HIV)2017年8月、米ギリアド・サイエンシズ社ソバルディ(C型肝炎)2017年9月、日本エーザイ社のレンビマ(肝臓がん)2018年に、米ブリストル・マイヤーズスクイブ社と日本の小野薬品との共同開発したオブジーボ(肺がん)2018年中にも認可される見通しだ。
又、中国に開発拠点を置くことも進んでおり、アストラゼネカ社は2017年11月にがんや循環器疾患の薬を開発する合弁会社の設立を発表、スイスのノバルティス社は上海に主力開発拠点設立した。
この様に大手各社が中国に進出する一方、中国での高額医薬品への公的保険の適用範囲が不透明な事や偽造品がすぐに出回る事が懸念され、楽観視は出来ない。
参考文献
日本経済新聞 電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2768062004032018MM8000/