女性のEDについて

女性にもEDはありますか?

男性にはED(勃起不全)がおきますが女性にもEDはあるのでしょうか?EDとはErectile Dysfunctionの略称で一般的には勃起不全と訳し男性の陰茎部が隆起しない、男性器が機能しないことを指します。しかし女性には男性器のように性行為に対し勃起する性器が無い為正確にはED(勃起不全)という現象はありません。解剖学的にも起こりえない性的現象ですので女性には関係性の無い医学用語になります。
しかしながらEDとは「性行為がうまく行えない」という広い意味でとらえられるもう一つの側面(定義)があります。その側面から考察すると女性にもEDという現象が起こりえます。しかし男性のEDと区別する必要があるため女性に対してはFSD=Female Sexual Dysfunction(女性性機能障害)という医学用語を使用しています。
実際に女性におこるFSD(女性性機能障害)は

・性的関心/興奮障害
・オルガズム障害
・性器・骨盤痛/挿入障害
・物質・薬剤誘発性性機能障害
・その他の性機能障害(性嫌悪など)

と男性とは異なる障害・問題を抱えています。

性的関心/興奮障害

女性にも様々な要因で性行為に積極的になれない、興奮ができない状態がおこります。生活上のストレス(パートナーまたは周辺との人間関係や精神的苦悩)、経済的な問題と日常生活に密接に関係してきます。女性のコミュニティは近所付き合いなどの狭い範囲で行われているケースも多く仕事以外にも日常的に精神的負荷がかかります。また女性は男性に比べ経済的安定を求める傾向があるため金銭的な不安があると性生活にも大きな影響を与えます。
先のようなストレスが継続すると性的な関心(性行為への意欲・興味)が起こりづらく興奮しなくなります。また女性ホルモンの乱れ、減少により膣の萎縮も重大な問題となります。

オルガズム障害

女性は性的刺激を受けて興奮し性行為を行う欲求が高まり、実際に行為をすることによってオルガズムに達します。しかしオルガズム障害とは性的興奮はあるもののオルガズムが得られず性的な機能障害になります。パートナーと行為に対して快感が得られないという事は性行為の技術的な問題やコミュニケーション不足といったことが挙げられます。また抗うつ薬(精神治療薬)の副作用で女性ホルモンのバランスが崩れてオルガズムを得られないといったことが最近は増加傾向にあります。

性器・骨盤痛/挿入障害

女性は性行為に伴い痛みを感じることがあります。女性器(膣)が濡れることが無く、また弾力性に乏しい状態(体質)の場合性行為そのものが苦痛になり挿入行為を受け入れがたくなります。女性器の陰部前庭炎、子宮内膜症といった炎症が起因していると言われています。
また過去に行った骨盤や膣内の手術を行った後遺症で継続的な痛みが起こり性的な快感を得られない状態にもなっているのです。
挿入障害とは過去のトラウマや性に対する認識・教育によって心理的な障害が生じ性に対して嫌悪感を持ち膣が痙攣などの拒否反応を起こし性行為が行えないといったことが起きるのです。

FSD(女性性機能障害)の現状

パートナーとの性行為を行う上で理想な関係は相手に対し性的な魅力や性欲、ときめきや発情といった性的な衝動があり、かつ尊敬や好意、愛情といった心的なつながりを持つことが必要です。このような感情が湧き出ないパートナーとの行為は義務感や仕方なさが積み重ねられ次第に快感や興奮を得られないようになり性行為そのものに痛みや嫌悪感を抱くようになります。最終的には性機能障害を引き起こし性行為不能状態(セックスレス)になってしまい、治療に多くの時間を使ってしますのです。
男性のED(勃起不全)治療のようにED治療薬(バイアグラ・レビトラ・シアリス)を服用することによって一時的に回復するものではなく女性性機能障害は精神的な原因が多くを占めており、カウンセリングや薬物療法により徐々に回復していきます。また世間ではFSD(女性性機能障害)がまだまだ認知されていません。社会全体が現状を把握して理解を深めることも改善策の一つとなります。